| 2008/01/05(Sat) |
ベン・シドランが聞き手に徹して主要なジャズ・ミュージシャンにインタヴューを行ない、その最初の成果はインタヴュー集『トーキング・ジャズ:アン・オーラル・ヒストリー』として刊行されたが(1992年)、同書のサウンド版ともいうべきインタヴューCDのボックス・セットが24枚組のコレクターズ・エディションとして登場した(発売は2007年)。 マイルスの貴重なインタヴューも聴くことができる。
・Talking Jazz : An Oral History〜Collector's Edition (Unlimited Media:24 cd set)
全24枚のCDには、楽器別にミュージシャンのインタヴューが収録され、ジャズの歴史や創造の秘密など、あらゆる角度から楽しめるよう構成されている。 基本的にCD1枚に2人から3人のミュージシャンが収録され、そのトップをマイルスが飾っている(86年1月、マリブで収録)。 マイルスのインタヴューは約40分に及ぶものだが、これぞまさしく「ナルディス」に関する“あの発言”が記録された瞬間。 インタヴューの最後にシドラン(Sidran)がマイルスに「ナルディス」(Nardis)について、「いえ、その、私の名前のバックワーズなもので」と説明し、それに対してマイルスが、 「No kidding? No kidding. I don't know, but that's a nice name, man」と返す下りは、軽く感動的ですらある。
シドランのインタヴューに応えた証言者は、マイルスをはじめ、ガレスピー、ドン・チェリー、レッド・ロドニー、ウイントン、フィル・ウッズ、ロリンズ、マクリーン、ジョニー・グリフィン、フランク・モーガン、デヴィッド・マレイ、アーサー・ブライス、チャーリー・ラウズ、ブランフォード、マイケル・ブレッカー、ペッパー・アダムス、ハービー、キース、マッコイ、ジェイ・マクシャン、ホレス・シルヴァー、ドクター・ジョン、レス・マッキャン、ペトルチアーニ、ブレイキー、ローチ、トニー、メル・ルイス、モチアン、ガッド、リチャード・デイヴィス、マーカス・ミラー、ジョン・ヘンドリックス、ベティ・カーター、デイヴ・フリッシュバーグ、ドナルド・フェイゲン、モーズ・アリスン、ベンソン、スコフィールド、ギル、カーラ、クレア・フィッシャー等々、じつに60人を数える。 詳細は下記サイトを参照願いたいが、23枚目にルディ・ヴァン・ゲルダー、マックス・ゴードン(ヴィレッジ・ヴァンガード)の珍しいインタヴューが収録されているのも高ポイント。ちなみに“RVG”のインタヴューは約25分間(85年12月収録)。
とかく日本人が聞き手になった場合は、最後まで“決めゼリフ”を引き出すことができず、加えてインタヴューを受けた相手が日本語を理解できないことをいいことに「ホントーにホントに本人がそう答えたんだな!?」と疑いの目を向けざるをえないようなもの、あるいは「インタヴューという名の、たんなる雑談」が多いが、その点、このシドランが敢行した一大インタヴュー・プロジェクトに演出や偽装はなく、ストレートかつヒューマンな発言が次から次へと飛び出す。まさに“トーキング・ジャズ”の魅力満載。 ともあれ、マリアン・マクパートランドの「ピアノ・ジャズ・シリーズ」と並ぶ、もっとも貴重な証言集であることはまちがいない。
http://www.talkingjazz.com/ http://www.bensidran.com/ (上記サイトに掲載されているボックスのジャケットはロリンズだが、反対側がマイルスになっている) なおこのボックス・セットについては、1月28日、アサヒ・コム「マイルスを聴け!」で紹介予定。 |
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